ギムネマシルベスタについて
- 1. (1)ギムネマシルベスタというのをよく聞きますが、もともと何なのですか?
- 2. (2)ギムネマ酸にはなぜ甘味の味覚を抑える作用があるのですか?
- 3. (3)ギムネマ酸がギムネマシルベスタの主成分なのですか。どのような作用を持っているのですか?
- 4. (4)ギムネマ酸はダイエットに有効という話を聞いたことがありますが、本当ですか?
- 5. (5)ギムネマは、膵臓からのインスリン分泌を抑えるのですか?
- 6. (6)血中のインスリン濃度が低くなれば普通は血糖値が高くなると思います。それなのに、ギムネマを事前投与しておくと血糖値が変わらないというのはどういうことですか?
- 7. (7)ギムネマシルベスタを投与したところ、糖尿病が改善したというデータはあるのですか?
- 8. (8)ギムネマシルベスタは膵臓のインスリン分泌細胞を蘇らせると考えていいのですか?
- 9. (9)結局、ギムネマシルベスタは糖尿病に効くのですか?
(1)ギムネマシルベスタというのをよく聞きますが、もともと何なのですか?
インド原産のガガイモ科のつる性植物の一種です。インド伝承医学のアーユルベーダでは健胃、強壮、利尿、糖尿病などの薬効があると記載されています。葉に含まれるある成分(ギムネマ酸)は、舌の味覚を感じる細胞に働きかけて、一時的に甘味の味覚を抑えてしまう作用をもっています。
(2)ギムネマ酸にはなぜ甘味の味覚を抑える作用があるのですか?
詳細は分かっていません。おそらく、舌の表面の味蕾の甘味のポイント(受容体)に結合して、砂糖や他の甘味物質が働きかけないようにするからだろうと推測されています。
(3)ギムネマ酸がギムネマシルベスタの主成分なのですか。どのような作用を持っているのですか?
そうです。ギムネマ酸が主成分です。植物であるギムネマシルベスタの薬効はギムネマ酸が担っています。甘味抑制作用、糖吸収抑制作用、インスリン分泌抑制作用、脂肪蓄積抑制作用です。
(4)ギムネマ酸はダイエットに有効という話を聞いたことがありますが、本当ですか?
ギムネマ酸にはインスリン分泌を抑制する効果があることが知られています。インスリンは、血液中の糖分を肝臓、筋肉、脂肪の細胞内に取り込ませる作用を持っています(その結果、血糖値が下がる)。膵臓からのインスリン分泌を抑える関係上、細胞内への糖分の取り込みが少なくなり、脂肪細胞内への脂肪蓄積が少なくなるという理論で、ダイエットに有効といわれています。しかし、インスリン分泌が少なくなることにより、血液中に余った糖分がどうなるかについてはよく知られておらず、理論的な効果は短時間のものである可能性があります。
(5)ギムネマは、膵臓からのインスリン分泌を抑えるのですか?
マウスに対する実験でも、人に対する経口ブドウ糖負荷試験でもギムネマを事前投与しておくと、血清インスリン値が顕著に低くなることが知られています。インスリン値は低くなりますが、血糖値はギムネマ酸の事前投与のあるなしで変化はなかったそうです。
(6)血中のインスリン濃度が低くなれば普通は血糖値が高くなると思います。それなのに、ギムネマを事前投与しておくと血糖値が変わらないというのはどういうことですか?
ブドウ糖そのものの腸からの吸収が抑制されたか、またはインスリンが少量になっても作用そのものが増強したことかのどちらかが推測されます。動物実験(ラット)では、ブドウ糖そのものの吸収率が低下することが報告されています。
(7)ギムネマシルベスタを投与したところ、糖尿病が改善したというデータはあるのですか?
1930年、インドで8人の糖尿病患者にギムネマシルベスタ葉の粉末0.6グラムを毎食後飲ませ、3ヶ月観察したところ、8人中2人の血糖値が正常化したと記されています。最近では、1983年健常者10人と糖尿病患者6人に乾燥ギムネマシルベスタ粉末の抽出物2グラムを1日に3回15日間投与する調査が行われています。その結果、健常者、糖尿病患者の両方で血糖値が低下しました。1984年に、インスリン依存型糖尿病患者にギムネマシルベスタの高濃度抽出物を400mg/日を2年以上投与したところ、次第に血糖値が低くなり、インスリン投与量も少なくなったという研究報告が出されています。
(8)ギムネマシルベスタは膵臓のインスリン分泌細胞を蘇らせると考えていいのですか?
ラットの実験では破壊された膵臓のインスリン分泌細胞(β細胞)が修復されたことがマドラス大学の研究グループにより報告されています。人でも修復されるかどうかは、今後の課題です。
(9)結局、ギムネマシルベスタは糖尿病に効くのですか?
ギムネマの有効性を直接実験したことはないですので、確定的な話はできません。しかし、「糖尿病を改善する可能性がある」という多くのデータが揃っていますので、試してみる価値はあるでしょう。
インスリン非依存型で食事療法や内服療法を行っている人なら3ヶ月間、インスリン依存型でインスリン注射を行っている人なら2年以上続けてください。その結果、早朝空腹時血糖値やヘモグロビンA1cが低下するかどうか、内服薬やインスリンの投与量を減らせるかどうかをご自分のカラダで確認するのが一番だと思います。
あなたの糖尿病治療に関して、風本医師からのセカンドオピニオンを提供します
-
前の記事
冬虫夏草について
-
次の記事
キチン・キトサンについて