糖尿病を学ぼう
糖尿病なのに治療しないでおくと・・・
糖尿病とは血糖値が異常に高い状態のこと。と聞いても、「それの何がいけないのか?」とあまりピンと来ない方が多いかもしれません。実際、糖尿病が強く疑われている場合でも治療を受けていない人は少なくありません。
「ついつい油断して」あるいは「症状はないし、治療なんて必要ない」と思って糖尿病を放置しておくとどうなるのでしょうか?
糖尿病を放置して5~20年後には・・・
- 「目が見えなくなる」
- 「尿が出なくなって透析治療が必要になる」
- 「手足がしびれて、手先、足先から腐ってきて切断しなければいけなくなる」
という状態が起こり得ます。
3大合併症といわれるものです。「最近、目がかすむなあ」と思いだしたら、半年後には失明していることもあります。採血でわかるクレアチニンの数値がだんだんと高くなって、5.0mg/dlを超えるともうすぐ透析治療です。
突然、心筋梗塞や脳梗塞が起こる
大学病院の糖尿病の外来には、毎日約30~40人の予約患者がいます。そのうち、来院しない患者が数名います。その人達の家に電話をかけてみると、「生前はお世話になりました。先日、心筋梗塞で逝去しました」や「申し訳ございません。実は、脳梗塞をおこして○○病院に入院しておりまして・・・」ということがしょっちゅうあります。糖尿病であるというだけで脳梗塞や心筋梗塞を起こしやすいのです。
大腸ガン・すい臓ガンが発生
糖尿病患者には、どういうわけか大腸ガンとすい臓ガンが発生しやすいのです。ついついうかつに3~4年の間、大腸ファイバーや腹部CT検査を行わないでいると、ある日、大きな大腸ガンやすい臓ガンが見つかった、なんていうことがしばしばです。
糖尿病は早朝空腹時血糖値とヘモグロビンA1cが決め手
数値でわかるあなたの糖尿病危険度
「糖尿病=血糖値が異常に高い状態」ですが、血糖値というのは常に変動しています。食事をするとその数分後から上昇し始め、食後30分~1時間でピークに、その後はゆるやかに低下していき、2時間ほどで一定のレベルに戻ります。ストレスや運動、飲酒などでも変動します。
では、自分の血糖値が高すぎるのか正常なのかはどのようにして判断するのでしょうか。そこで用いるのが「早朝空腹時血糖値」と「ヘモグロビンA1c(エーワンシー)」です。この2つの数字をいつも覚えておいて欲しいものです。病院で調べることが可能です。
1).早朝空腹時血糖値
夜寝ている間に血糖値は少しずつ低下して、一定の数値で安定します。この値が朝起きてから朝食をとるときまで持続します。この値が「早朝空腹時血糖値」です。健常者は80~110mg/dlに保たれており、126を超えると明らかに異常といえます。空腹時の検査が基本ですが、最近は食後2時間後の値も重要視されるようになっており、こちらは140mg/dl以下が正常です。
2).ヘモグロビンA1c(エーワンシー)
ヘモグロビンA1cとは、ヘモグロビン(赤血球に含まれる赤い色素)が血中のブドウ糖と結合してできる強固な化合物で、高血糖が長い時間持続するとヘモグロビンA1cも増えていきます。血中のHbA1cの値は、赤血球の寿命(約120日)の半分にあたる時期の血糖値の平均を反映します。つまり、ヘモグロビンA1cを測定すれば、過去1~3か月の血糖状態を推定できるのです。なお、日ごろ健康な人の、健康管理上の理想値は5.2%以下です。
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